淡くほのかに浮かぶ花※
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 ほのかに灯る間接照明が部屋の中を照らし、肌に影を落としながら柔らかく輪郭を浮かび上がらせる。ベッドに押し倒した身体にまたがると、まだ恥じらいを残した目がまっすぐに俺を見つめた。
 もう数えていられないくらいしたのに、いつも初めてみたいな顔をするからひどく欲を煽られる。乱れたTシャツの裾から手を差し入れて、引き締まった身体を撫でればうっとりと目を細められた。

「ほんと冬悟さんって肌つやつやだよな。触り心地がいい」

 煙草は吸ってるし酒も飲むし、仕事はいつも忙しそうだし、肌が荒れる条件は揃ってるのに、いままで肌がくすんだのを見たことがない。触り心地で言えばまだまだ二十代にひけを取らないと思う。

「やっぱり規則正しい生活かな」

 どんなに遅く帰ってきてもきっかり二十四時には寝てしまう。してる最中に寝られたことも一度や二度ではない。それを思い出して笑えば、先をねだるように腕を引かれた。
 されるがままに胸元に倒れ込むと冬悟の匂いと真新しい寝具の香りがする。まだ冬悟の匂いが染みついていないそれはやけに清潔な香りがした。

「笠原さん」

「ああ、ごめん。なんか初めて感がすごくてやけにドキドキする」

「お預けにされているのもかなりドキドキします」

「ごめんって、そんなに拗ねられると可愛くて我慢が効かなくなる」

 もの言いたげな目に笑みを零せば、ますます膨れた顔になる。少し子供みたいなその顔がたまらなく可愛くて、身体を持ち上げて口先にキスをした。うっすらと開かれた唇はいつもより赤く色づいていて、漏れる吐息がいつもより熱い。
 無自覚に溢れ出した色気に誘われて欲が膨らむ。無防備な喉元に噛みつけば頼りない手でしがみつかれた。

「その顔、めちゃくちゃそそられる」

 自分よりずっと大人で、ずっと男らしくて、きっと本気を出せば簡単に俺なんか振り払える。そんな人を見下ろしている優越感。羞恥を孕んだ少し潤んだ瞳にふつふつと熱が高まっていく。
 首筋を舌先で撫でながら無遠慮に肌に手を這わせる。そうすると指先の感触に腰が揺らめいた。けれどそれはくすぐったいと気持ちいいの半々くらい。それでも背骨を辿るように指を伝わせると身体がのけ反る。

「性感帯は増やしていかなくちゃね」

 Tシャツを強引にたくし上げて、小さな胸の尖りをあらわにさせる。ツンと立ち上がったそれは少しふっくらとしていた。最初の頃はちっとも反応がなかったけれど、しつこいくらいにいじったら柔らかく色づくようになった。

「上、脱いじゃおう。腕上げて」

 言われるがままに俺が脱がせやすいように冬悟は腕を上げる。その従順さがひどく可愛らしく思えた。