思いがけない言葉はここから
翌朝、天希が目を覚ますと枕元に雪丸がいた。 頬に触れる柔らかい感触に驚いたけれど、もふもふと小さな尻を撫でると尻尾がゆらゆら揺れる。「伊上は、仕事か?」 昨夜、散々汚しただろう隣の布団は伊上が片付けたのか、畳まれている。 室内に視線を巡ら…
Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができました よく似たふたりシリーズ
二人のあいだにある小さなズレ
伊上の寝顔を見ているうちに、ウトウトしてしまったらしく、天希がまぶたを開くと目の前に彼の寝顔があった。 いつの間にやら布団に二人、横になっており、天希は伊上の腕の中だ。 優しく抱きしめてくれている伊上は、まだ眠っているのか、天希が目覚めた…
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子猫VS.獅子
食後のお茶を堪能したあと、二人で手早く風呂を済ませた。 二ノ宮の客風呂は旅館と見紛うほどの内装で、体の大きな天希と伊上が一緒に入っても、ゆったりした広さだった。 身近で温泉気分に浸れるなら、たまに泊まってもいいなどと思ったくらいだ。 伊上…
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卵・THE・リベンジ
部屋の片付けをして、雪丸とたっぷり遊んだあと、台所で天希が包丁を握っていたら――「今日はなにを作ってくれるんだい?」「あっ、伊上、おかえり」 待ち人が帰ってきた。 珍しく気配をさせて近づいてきたのは、天希が刃物を握っているからだろう。普段…
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先行きが不安な帰り道
梅雨明けの昼下がり、|天《あま》|希《き》は通り抜けた自動ドアを振り返らずにまっすぐと歩く。 いつもは日差しを受けキラキラ輝く髪。今日は落ち着いたライトブラウンになっていた。 就職面接のため、さすがに金髪は駄目だろうと美容師を泣かせた代物…
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溺愛彼氏の口説き方
温泉の湯気で体が火照って暑いのか、興奮で熱いのか。 すっかり伊上の膝に載り上がって、彼の首に腕を回してキスを受け入れているいまの天希では、到底理解しきれない。「あまちゃん、そんなに擦りつけてきて、触ってほしいの?」「やだ、乳首のほうがいい…
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据え膳は残さずいただきます
渡り廊下を抜け、玄関を解錠すると、伊上はぐいと天希の手を引いて中へ引っ張り込む。 驚いてされるがままに足を踏み出した天希は、彼の胸に倒れ込む前に顎をすくわれ、唇を塞がれた。「んっ……い、いが、みっ」 背後で戸が閉まった音は聞こえたけれど、…
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二人でお揃いだぞ
しばらく天希は「ふへへ」とおかしな含み笑いをしていた。 さすがに若干呆れられた気はするが、スマートフォンの画面に伊上とのツーショットがあれば、浮かれずにいられない。 そもそもの話、彼は天希の好みど真ん中なのだ。 顔面の良さに一目惚れをし、…
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古い記憶の欠片
天希と伊上が通されたのは旅館の離れだった。 本館から渡り廊下を通って行き来ができるので、雨風などに晒される心配はない。 行き来は楽でも、宿泊者しか出入りできないようになっており、廊下の手前でカードキーをかざさないと通り抜けができないのだ。…
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初めて見る姿に
仕事ができる男と名高いだけあって、篠原の手回しは本当に早かった。 ちょうど近い日に、連休があるのでと天希にも配慮してくれ、伊上と二人で出掛ける日取りはすぐに整った。「今日、行く所って紹介がないと泊まれないってほんとか?」 朝に自宅の近くま…
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なに言っちゃってんの?
それはなにげない一言だったのかもしれない。 けれど受け止めた天希には衝撃的な一言だった。 その日もいつものように、仕事が終わって帰ってくる予定の伊上を、二ノ宮の本邸で待っていた。 天希は組長である二ノ宮|志《し》|築《づき》の息子、|成《…
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心のアルバム更新中
間接照明が灯る薄明るい空間で、もうずっと俺の上擦った声と瑛冶の興奮した息づかいが響いている。 いつもとは違いゆっくりと腰を使う瑛冶は、自身がイキそうになると動きを止め、落ち着いた頃にまた動き出す。 おかげでこちらは長い間、快楽の責め苦にあ…
しあわせのカタチ 《閑話》今日も明日もその先もシリーズ