可惜夜に浮かれ烏と暁の月

可惜夜に浮かれ烏と暁の月

Twitterリレー小説企画可惜夜に浮かれ烏と暁の月作者:はづき&るし※不定期更新更新しました♪第十八節気 霜降 末候楓蔦黄(もみじつたきばむ)もみじや蔦が黄葉するほんのり和風ファンタジー風味。Twitter先行投稿、他サイトにも転載してい…

末候*楓蔦黄(もみじつたきばむ)

「おい、まだ着かないのか?」「もう少しだよ!」 そう請けあって、元気に坂道を登っていく朱嶺の背中を睨みつつ、暁治は彼に続いて重い足をまた一歩踏み出した。  ことの起こりはサツマイモ騒動のときのことだ。「はる! 見て見て!!」 七輪…

可惜夜に浮かれ烏と暁の月

Twitterリレー小説企画可惜夜に浮かれ烏と暁の月作者:はづき&るし※不定期更新更新しました♪第十八節気 霜降 次候霎時施(こさめときどきふる)小雨がしとしと降るほんのり和風ファンタジー風味。Twitter先行投稿、他サイトにも転載してい…

次候*霎時施(こさめときどきふる)

 しとしとしと。 朝から雨が降っていた。「この時期小雨が降るたびに、冬が近づくそうですよ」 いつも寛ぐ居間とは、廊下を挟んだ入り口側。元は祖父母の寝室だった場所を、暁治はアトリエとして使っていた。 反対側は縁側で日当たりもよく、オシャレなす…

初候*霜始降(しもはじめてふる)

 台風一過の翌日は、見事な秋晴れになった。 秋は台風の季節なのだが、ひとつ過ぎるたびに風が冷たさをまとう気がする。 久しぶりの休み、日課の庭を掃きながら、そんなことを思う暁治だ。 庭の落葉樹も色づいて、毎日のように庭掃除を促してくるのも趣深…

可惜夜に浮かれ烏と暁の月

Twitterリレー小説企画可惜夜に浮かれ烏と暁の月作者:はづき&るし※不定期更新更新しました♪第十八節気 霜降 初候霜始降(しもはじめてふる)霜が降り始めるほんのり和風ファンタジー風味。Twitter先行投稿、他サイトにも転載しています。…

末候*蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)

 あなたはお兄ちゃんなるのよと、嬉しそうな両親を見て、嬉しさより先に覚えたのは、今から思えば寂しさだったように思う。 母親の産後の体調が悪くて、田舎にやられたときも、ずいぶん妹を恨んだものだ。体調が悪くなったのは妹のせいではないと、わかって…

可惜夜に浮かれ烏と暁の月

Twitterリレー小説企画可惜夜に浮かれ烏と暁の月作者:はづき&るし※不定期更新更新しました♪第十七節気 寒露 末候蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)蟋蟀が戸の辺りで鳴くほんのり和風ファンタジー風味。Twitter先行投稿、他サイトにも転載し…

可惜夜に浮かれ烏と暁の月

Twitterリレー小説企画可惜夜に浮かれ烏と暁の月作者:はづき&るし※不定期更新更新しました♪第十七節気 寒露 次候菊花開(きくのはなひらく)菊の花が咲くほんのり和風ファンタジー風味。Twitter先行投稿、他サイトにも転載しています。

次候*菊花開(きくのはなひらく)

 朱嶺の向かった先は幽冥界というらしいのだが、朱嶺のたどるルートはただの人間でしかない暁治は利用できない。「うつつと別の世の狭間には、緩衝材のような世界があって、そこから行くでござる」 暁治たちが暮らす世界、うつつと、それ以外にもいくつかの…