おいしい恋が舞い降りる

今年も、それからも

 雄史と身体を重ねるまで、志織はまったくネコの経験がなかった。しかしいざ抱かれてみると、あまりの良さにハマってしまった。 特に彼は体力も腕力もあるので、少しばかりねだっても、身体を預けても、受けて止めてもらえる。「うわっ、これめちゃくちゃ眺…

姫始めは待てません

 なにかそれらしいことを、言ったのかと聞いたら、恋人ができたとしか言っていないという。 それなのに一目見ただけで、彼に見抜かれるとは、どれほど普段から顔に出ているのか。しかしまあ、素直な性格だからなと、志織はそれ以上はなにも言わなかった。「…

初詣デート

 あれからしばらくにゃむと雄史の、攻防戦が繰り広げられた。どちらが志織にキスをするか。そしてしたあとは奪い返されないように、大騒ぎだった。 猫相手によくそんなに本気に、と思いもするが、その様子が微笑ましくて可愛く思えた。新年早々から、志織は…

二人で迎える新年

 時計の針は二十三時を指す。 一緒に少し横になるつもりが、調べ物をしているあいだに、時間が過ぎてしまった。ふいに込み上がってきたあくびを堪えて、志織はベッドで寝息を立てる雄史を覗き見た。 すやすやと眠っている恋人は無防備で、寝顔まで可愛い。…

大晦日にダイエット?

 今年もあと数時間――そんな夜に、悲鳴のような声が響き渡る。 その声に志織が脱衣所を覗くと、体重計の上で恋人が蒼白な顔をしていた。さらには悲愴な顔で見つめてくる。「雄史、どうかしたのか?」「う、う、……体重が、三キロも増えてます」「え?」「…

幸せの本当の意味

 やはり寝顔を何時間も見つめる男なんて、気持ち悪いという言葉しか見当たらない。志織に見つめられるのは本望だけれど、ほかの誰かだったら、少しばかり引くだろと思えた。 いくら懐が深いとは言え、生理的に受け付けないことだってあるはずだ。しかし顔を…

聖夜の贈りもの

 月明かりが広がる静かな室内に、小さな寝息が聞こえる。さすがに積極的だった志織も、雄史のしつこさには勝てなかったのだろう。 眠りは深いように見える。 あのあと奉仕してくれる姿に我慢できず、お願いしてもう一回させてもらった。好きなだけしてもい…

もういっかい

 広めの風呂場は、二人で入ってもさほど窮屈ではない。まだ彼の足の具合が酷かった時はほぼ毎日、雄史が志織の世話を焼いていた。甲斐甲斐しく髪を洗ってあげたり、身体を洗ってあげたり。 最後には決まって二人で一緒に湯船に浸かった。さすがに少しばかり…

二人の初めて

 いつにも増して、触れる肌が熱いように感じる。彼の熱か自分の熱か、いまは混じってよくわからない。それでも触れ合う肌が心地良くて、雄史はうっとりと目を細めた。「志織さん、好き、大好き。もう可愛くて、全部食べてしまいたい。なんか志織さんって、ど…

恋人のお誘い

 口づけだけで、蕩けてしまった彼を見下ろしながら、首筋を指先で撫でればピクリと肩が跳ねた。溢れた唾液がこぼれて、伝い落ちるそれが唇や顎を濡らす。 瞳に熱を灯らせている、その様子に雄史は気持ちが振り切れそうになった。「志織さん、もうスイッチが…

おいしくいただきます

 オーナメントが入っていた、段ボールを片付けて二階へ上がると、志織の部屋に通された。 二階の自宅はゆとりのある1Kで、八畳ほどの部屋と広めのキッチン、バスとトイレは別になっている。カフェの改装と一緒に新しくしたと聞いた。 そして彼の自室はベ…

また来年も

 触れた柔らかな唇。ゆっくりと目を閉じてさらに、もう一度、触れれば口先にふんわりした熱を感じた。けれど柔らかな感触を堪能しようと、さらに踏み出したら、突然頬にぺしんと衝撃が走る。「みゃっ!」「にゃむ、酷いよ。いまいいところだったのに」 深く…