おいしい恋が舞い降りる

優しい場所

 無意識に視線を巡らせた先には、右手のカウンターに四席、左手に四人掛けが三席ある。それほど広い店ではないが、適度な間隔があり狭苦しい印象はない。 木目の綺麗な床は、柔らかな照明を受けてつやつやとして見える。さらに店の扉と、通りに面した壁面上…

梅雨空の心

 つくづく思う、どうして自分はこんなに不運なのだろうと。 ふいにため息がこぼれて、俯きがちだった雄史の視線が、アスファルトへと落ちる。ため息をつけば幸せが逃げると言うが、それならばもう一つも、残っていない気がした。  人生において…