甘い果実に誘われて

07.甘い果実の香り

 可愛くて愛しくて、触れるたびに感情があふれ出す。何度も刻みつけるみたいに身体を繋げて、腕の中に閉じ込めて、唇が腫れそうなほど口づけた。しつこいくらい押し開いて、最後のほうはほとんど泣かせてしまった。 それでも気持ちは収まるどころか膨れ上が…

06.高ぶる感情

 俺にまたがった雪近は至極楽しげに笑い、嬉々として下肢に手を伸ばしてくる。散々雪近の色気に当てられた俺の息子は、バスタオル越しでもわかるくらいに張り詰めていた。正直言うとあまり触れられるとすぐにでもイってしまいそうなほどだ。しかしそれでは男…

05.艶やかさと初々しさ

 入れ違いで風呂に入りシャワーを浴びた。正直ちょっと興奮し過ぎて水を被ってしまった。先に出ていた雪近は俺と同じく腰にバスタオルを巻いただけで、無防備に素肌をさらしている。いままで一度も裸なんて見たことがなかったから、それだけでもう変に気持ち…

04.初めてみたいな気持ち

 結局店ではそこそこ高い酒を入れることになった。ほぼビールやチューハイくらいしか飲まない俺には無用の産物だ。おそらくそれは全部、辰巳が一人で飲むことになるだろう。でもまあ、毎回ビールをおごらされているし、それを一括払いしたと思えばそれほど痛…

03.知らなかった素顔

 なにかを考えるように視線を動かした雪近は、しばらく黙り込んでいたが瞬きをしてゆっくりと口を開いた。そしてどこか淡々とした声を発する。「そうですよね。こういう界隈って、すぐに噂が広がりますよね。でも男がいるのに手を出したんじゃなくて、向こう…

02.予想外の展開

 振り返った先にいたのは大柄な赤毛の男。肩をいやらしく撫でるように置かれた手は、触れられた瞬間ものすごく嫌な感じがした。肩に置かれたその手を見る前に、条件反射で俺は眉間に深いしわを刻んでしまう。「あっれぇ、高校生みたいな可愛い子がいるかと思…

01.浮かれたデート

 八月某日、天気は晴れ。気温はまあまあ高いが、うだる暑さでもない。いままで夏は大して好きではなかったが、最近大事なイベントができたのでぐぐんとランキング上位に上りつめた。それを考えるだけで気分がウキウキと弾むぐらい、その効果は歴然だ。 気が…