君、想う時。

夏に咲いた花02

 夕刻が近づき、少し太陽の光が和らいできた頃、二人は伊那に声をかけて出かけることにした。 まだ陽射しは強いからと、彼女は敦生に少しつばの広い麦わら帽子を被せてくれる。そして裸足の足にサンダルを履かせてくれた。 どれも朝倉の子供の頃のものだと…

夏に咲いた花01

 都会の夏はじりじりと地面を焦がし、コンクリートで覆われた街は陽炎のように揺らめく。 連日気温が三十度を超えるのは当たり前で、そんなうだるような暑さにげんなりとさせられる。 エアコンと扇風機で、キンと冷やされた部屋から出るのが嫌になるほどだ…

心に芽吹く花

 沈み始めた太陽は、晴れ渡っていた青空をいつしかオレンジ色に変え、高く伸びた建物や道行く人々を照らしていた。 時刻は十八時十六分――大きな噴水が、初夏の暑さを和らげる夕刻の公園、仕事帰りのスーツ姿が多く目に留まる。 みな帰路へつくのか、それ…

桜の時

 敷地にボートを浮かべられるほどの、大きな池がある広い公園――そこでは圧倒されるほどの桜が咲き乱れ、水面には淡いピンク色の優しい風景が映り込んでいる。 今夜は気温が高く絶好の花見日和だと、朝に流れるニュース番組が天気の予報を告げていた。 そ…