しあわせのカタチ

コトノハ/05

 ものすごくなにか言いたげな目で、見つめられている。それでもようやく、追いかけてきてくれたのかと思えば、嬉しさが湧く。 だが咎めるみたいな目で見られる、理由はさっぱりわからなかった。「なんで広海先輩が怒ってるんですか?」「それは、お前が」「…

コトノハ/04

 思いがけない展開に、身動きできず立ち尽くしてしまう。 それなのに恋人は、こちらの反応に慌てる素振りもなく、なんらいつもと変わらない顔をしている。 ものごとを誤魔化したりしない人だから、やましいことは一つもないってこと、なのだろう。 だとし…

コトノハ/03

 抵抗しようとする身体を押さえつけ、口の中をたっぷりと荒らす。すると鼻先から、小さな声が漏れ聞こえてきて、たまらなく興奮を煽られた。 口づけの合間に彼を見つめれば、ほんのわずか、潤んだ瞳に見上げられる。「広海先輩、すごく可愛い」 愛おしさが…

コトノハ/02

 なんとか駅に着く前に追いついて、一緒に改札を抜けた。そのまま逃げられたら、と思っていたのは杞憂だったようだ。 言わなくとも、黙って公園へ向かう電車に乗り込む。 二人並んで吊革を掴んでいると、窓の向こうに桜色の景色が見えた。通勤する時にも見…

《小説》しあわせのカタチ

連載*全8話/R18短篇シリーズ:しあわせのカタチ「コトノハ/01」あの日から少しずつ変化した毎日本日から8日までの連載になります。ものすごく久しぶりな二人ですが💦少しでも楽しんでいただけるといいなぁと思います。