こういう展開ってお約束なの?
昔からそうだ、
「
「あぁん? なにが来ちゃっただ、この野郎」
店が落ち着いたのを見計らったようにレジにやって来た男を、睨み付けるように見返してしまう。しかしにっこりと満面の笑みを浮かべてスルーされた。くそー、相変わらずのイケメンっぷりで腹が立つ。追い返そうと思ったらコーヒーと言うので渋々会計をする。
「もう少しで上がりだよね? 外で待ってるから」
「え? なんで」
「えー、お付き合いすることに決めたでしょ?」
ふいに声を潜めて顔を近づけてきた光喜に思わず後ずさった。そして慌ただしく周りを見回して、誰も聞いていないことを確認する。幸いレジに入っていたのは俺一人で、不審な動きを見咎められることはなかった。
「そ、それ本気で言ってんの?」
「え? だって勝利が」
「あっ」
こそこそとレジカウンターを挟んで顔を突き合わせていると、見覚えのある人が店に入ってきた。それを認めた瞬間、変に上擦った声を上げてしまう。その声が聞こえたのか、それともたまたまこちらを向いたのか。その人は俺のほうを向いた。
「もしかして」
「馬鹿、見んな! お前、早く外に行けよ」
俺の視線の先を追った光喜が目を瞬かせてその人――あ、名前なんだっけ? 忘れたがまあ、いい。ノンケ男を見つめる。そして向こうもそれに気づいて光喜に視線を向けてきた。じっと見つめ合う二人に、慌てて俺は元凶を追い払う。
俺のあからさまな反応に肩をすくめて、待ってるね。と光喜はコーヒーを淹れて出て行った。入り口辺りで立ち止まっていたノンケ男と外へ向かう光喜がすれ違う。
「笠原さん」
自動ドアが閉まり光喜が姿を消すと、ノンケ男がこちらへ向かってくる。いつもはパンとペットボトルを掴んでから来るのに、今日はまっすぐとやって来た。
「もう少しで上がりですよね? 今日は外で待っているんで。あ、煙草いつものください」
なにこの状況。イケメン二人も外で待たせるとかなんの乙女ゲーム? あ、ボーイズラブか?