どんなに願っても実を結ばない花もある
すぐに帰ると駄々をこねる光喜に急かされてタクシーを呼んで、今度は風に当たりたいという我がままに呆れながら小津へ視線を送る。俺の視線に緊張した面持ちで彼は自分勝手な王子さまに手を伸ばした。「光喜くん、まっすぐ立って」「えー、無理」 よたつい…
コンビニ 桜色の恋はじめました中編
甘やかな花の香りには抗えない
三十路にもなって純情かよ、と突っ込みたくなるが、デカい見た目に反した小動物みたいな心臓なんだろう。あたふたとしている姿は実に微笑ましい。こういうタイプって母性本能くすぐられる感じだろうな。 ずるずるとうどんを啜りながら、まだ耳まで赤くして…
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花を咲かせるためのポイントは
光喜が寝ているのをいいことに、小津には光喜攻略ポイントを教えた。テーブルを挟んだ向かい側で、床に胡座をかいてこちらを見る顔は真剣そのもの。 しかしそんなに難しいことではない。簡単に言うと飴と鞭の使い方。光喜は甘やかされるのが好きだから性質…
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実を結ぶのはまだもうしばらく先か
酔っ払って完全に落ちてる光喜にため息が出るが、ひとまず桜見物はお開きにしてマンションに引き上げるのが得策だろう。冬悟と顔を見合わせて苦笑いをすると、空き缶をまとめてビニール袋に突っ込んだ。 行きと比べて軽くなった缶は二人で手分けをすればな…
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美しい花は自由気ままなものである
数ミリ先で視線が合って、お互いなぜかふっと息を吐くように笑った。その雰囲気がひどく甘くて、自然と引き寄せられるように口づけをしてしまう。 冷静さなんてもう木っ端微塵だ。この空気に気持ちは逆らえない。唇を食むようにキスをすると、恥じらうよう…
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緩やかに咲き誇る気持ち
近づいた視線をまっすぐに見つめれば、唇が笑みをかたどる。ゆっくりと引き寄せて、目いっぱい抱きしめると冬悟は小さく笑った。伸ばされた腕に抱き込まれて、身体をさらに引き寄せたら二人でもつれるように転がってしまう。「笠原さん、ビール零しますよ」…
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花のほころびはもう少し?
早く光喜に新しい恋をしてもらって、落ち着いて欲しいという気持ちが一番だが、なによりも俺自身がもうちょっとゆっくり二人っきりで過ごしたいと思っている。光喜はしょっちゅう遊びに来るし、それに加えて小津もやってくるようになった。四人で集まるのは…
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花が開くかどうかはこれから次第
少しずつ近づいていけば数センチ、あと数ミリというところでクッションを顔に押しつけられる。目いっぱい押しつけられたそれを避けると、その下で光喜が顔を真っ赤にしていた。「ばーか、冗談に決まってんだろ」「し、心臓に悪い冗談」「なんだよキスくらい…
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芽吹いた花の蕾はまだ青く閉じたまま
冬悟と小津は結構古い仲らしく、十年くらい付き合いがあるようだ。職場の知り合いとかではないから、プライベートで知り合ったのだろう。ノンケの冬悟にあれこれ入れ知恵していたのは小津らしい。 付き合い始めてしばらくして紹介されて、たまに一緒にご飯…
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春爛漫!新しいはじまりの日
コンビニで出会った頃はまだ寒くて冬を感じていたけれど、いつの間にか花が芽吹いて桜色の春になっていた。春は様々なはじまりの季節でもあり、俺たちにも新しいはじまりはやって来る。 三軒隣、すぐ傍で暮らしていたが、平日も休日も互いの家に入り浸るこ…
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これから二人で始める新しい恋
これまでの一週間を振り返ると短くも長くもある。体感的にはすごく長い。だけど気持ちが変わるのはこれまでで一番早い。こんなに押しに弱かったなんて、やっぱり顔がいいって特だなと思う。 元々可愛い子が好きなだけあって俺は面食いだから、顔のいいやつ…
コンビニ中編
自分の選択が間違いじゃないって思う瞬間
ちょっと甘えた考えをしているのは自覚がある。だけど放っておけるほど光喜とは浅い関係じゃない。前向きに次の恋愛が出来るまで、見守ってもいいよな?「あのさ」「笠原さん」「な、なに?」 窺うような視線を向けると、目の前の鶴橋はやんわりと微笑んだ…
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