見つめる視線を感じ、そこを見せつけるように広げていく。
したたり落ちてくるローションが、ぐちゃぐちゃと音を立てるほどに指を抜き差しすれば、目の前でそれを見ている彼の喉元が上下した。
さらに指を増やして、奥へと突き入れていくと、次第に指先は前立腺にまで届く。そこを指で挟み込むようにして擦れば、身体がビクリと跳ね上がった。
その気持ちよさに、誘われるままに指を何度も動かし、両足を大きく開いて自分で自分を深く追い詰めていく。
そんな姿が、リュウの瞳に映し出されている。だがいまは羞恥よりも、興奮のほうがより強かった。
「宏武、気持ちいい?」
「んっ、気持ち、いい。……でも、まだ足りない、リュウが、欲しい」
熱情を孕ませた視線で自分を見つめる、彼の昂ぶりが腹に付きそうなほど反り立ち、張り詰めている。
あれを自分の中に突き入れたら、どれほど気持ちがいいだろうかと、想像して喉を鳴らしてしまう。
指だけでは届かない奥まで突いて欲しい。身体が揺さぶられるくらい、激しくかき回して欲しい。
「……リュウ、リュウっ、お願い、早く」
「まだ駄目。そのままイケたら、あげる」
「そんなの、むり、だ。リュウ、触って」
このままじゃ足りない。お預けなんてできるはずもなく、自分の指だけじゃ満足できない孔は、物欲しそうにひくついた。涙を浮かべて懇願すると、リュウは困ったように小さく笑う。
そして覆い被さるように身を寄せて、口先にキスをくれる。
「宏武、可愛い」
「リュウ、早くもっとして」
いまは優しいキスだけじゃ全然、足りない。
浮かんだ涙がこぼれたら、リュウの唇が滑り落ちて、首筋を伝い胸元まで落ちた。たっぷりと唾液を含ませた舌先で、胸の尖りを撫でられて、背中をゾクゾクとした快感がよぎる。
そこに吸いつかれるだけでも、身体が震えるほどに気持ちがいい。
吐息混じりの上擦った声を上げると、彼はやわやわとそこに歯を立てる。さらにはぷっくりとした乳首を、もてあそぶように舌で弾いた。
じゅっと音を立てて何度も吸われ、舌先で押し潰すように撫でられて、腰がじんと痺れてくる。
その快感だけを追いかけて、指を動かせば、じわじわと上り詰めていくような気がした。
「んっ、ぁっ、ぁっ、あぁっ……っ」
気がつけば白濁が腹の上に飛び散り、あっけなく達してしまっていた。しかしずるりと指先を抜き去っても、まだそこはぽっかり口を開けているように感じる。
熱を吐き出したばかりだというのに、早くこの空いた隙間を埋めて欲しいと思ってしまう。
我慢しきれずに自ら腰を揺すったら、彼の張り詰めた切っ先が、尻の割れ目にこすりつけられた。
「リュウ、早く」
誘うように、柔らかく熟れたそこを広げてみせれば、リュウはためらうことなく、そそり立った熱を押し込んだ。指などは比ではない、太くて大きなものが小さな孔を押し広げていく。
息を飲み込み、それが身体に収まっていくのを待った。受け入れた場所が大きく広がり、じりじりと熱を持つのがわかる。
小刻みに揺すられると、もっと刺激が欲しくなって、自分から浅ましいほどに腰を振りたくってしまう。
「んっ、宏武。そんなにしたらすぐに出ちゃう」
「もっと! もっと激しくして」
「だーめ」
動かしていた腰を、大きな両手で鷲掴みにされた。押さえ込まれると、身体を動かすことはできなくて、リュウの動きだけが唯一の刺激になる。
緩やかな動きはじわじわと熱を高めるが、突き動かされるような快感にはならなくて、ひどくもどかしい。
しかし何度ねだっても、それをやめてくれる気配はなく、ねっとりと絡みつくような刺激しか、与えてもらえなかった。
「ぁっ、んんっ、いや、リュウ、これはいやだ」
「そう? 宏武、気持ちよさそうだよ」
ゆっくりと内側を、舐るように動かされるのが堪らなくて、感覚を振り払うように首を振る。
そんな自分を見下ろし、リュウは口元に笑みを浮かべたまま、何度もそれを繰り返す。
奥まで突き入れられると、彼の硬い熱に前立腺を擦り上げられる。緩やかな中に明確な刺激を与えられて、身体が跳ねた。
さらにずるりと引き抜かれれば、しゃぶりついた内壁にカリが引っかかり、身体の奥からゾクゾクと震えてしまう。
抜き挿しされるたびに、ぬちゃぬちゃと粘る音が響いて、耳まで犯されている気分になる。
「や、だめ、だ……ぁっ、こんなの、おかしくな、る。ぁっ」
まつわりつくような刺激は、高まった快感を身体にとどめて、それを捕らえて放さない。
激しく揺さぶられるよりも、長く熱を持ち続けて、頭の中がぼんやりとするほど惚けてしまう。快楽に落とし込まれるようにじわじわと刺激を与えられて、思わず涙がこぼれた。
過ぎるほどの快感に溺れ、縋るように目の前にある身体にしがみつく。指の先が食い込むほど強くしがみついても、リュウは奥深くへと押し入り、震える身体を追い詰めていくばかりだ。
「んっ、ぁっ、ぁっ、いやだ、リュウ、リュウっ」
「……宏武、可愛い。もっと気持ちよくしてあげる」
嫌だと繰り返しながらも身体は従順で、彼の動きに誘われるように腰が揺らめいていた。それがさらに快感を高めているとは気づきもせずに、自分で自分を追い詰めていく。
甘ったるい喘ぎ声が、堪える間もなく口からこぼれた。
潤んだ視界の先にいるリュウは、そんな自分をひどく愛おしげに見つめる。
その眼差しに見つめられると、胸が締めつけられたように苦しくなった。そんな目で見ないで欲しい。心が勘違いしてしまいそうになる。
繋がっていられるのはいまだけで、その先はもうないのだから、期待をさせないで欲しい。
その目で見つめられると、彼と一緒にいられる未来を想像してしまう。叶わない夢なのに、愚かな期待が胸に湧く。
いまだけなのだから、そんなに愛おしげに見つめないで――しかしそう思っても言葉には出せなかった。
まだ終わりにしたくないのだ。あと少し、もう少しでいい。彼と繋がっていたいと願ってしまう。
「宏武、なに考えてるの?」
「……なんでも、ない」
一瞬、心の内をのぞかれたような気がした。まっすぐな彼の瞳には、なにもかも暴かれてしまいそうだ。
それがなんだか少し怖くて目を伏せてしまった。しかし彼はそれを許してはくれず、意識を引き戻すかのように、深い口づけをする。
舌を絡め取られると、繋がっている部分がじわじわと熱を帯びてくる。さらに強く揺すられれば、身体が痺れるような気持ちよさに包まれた。
何度も突き動かされているうちに、肌がざわめいて、気持ちがどんどんと高ぶってくる。
内側から湧き出てくる、感情が怖くて両手を伸ばしたら、その手をベッドに強く縫い止められてしまった。
「リュウ、あっ、ぁっ、……んっ、はぁっ、ぁっ、ぁっ」
先ほどまでの緩やかさとは裏腹に、激しく腰を突き動かしてくるリュウは、ひどく興奮しているのか、何度も首筋に噛みついてくる。
その痛みすら、いまは身体を疼かせた。なんだか自分の身体が、自分のものではないような気分になる。
「や、ぁっ、あぁっ……ひ、ぁっ、ぁっ」
揺さぶられる身体が、ガクガクと震える。頭がふわふわとしてきて、なにも考えられない。それでも繋がった部分だけは、熱を持ち、彼の昂ぶりをきつく締めつけているのがわかる。
もう身体は限界まで追い詰められているというのに、くわえ込んだそこは、彼の熱にしゃぶりついているかのようだ。
「リュウ、もう、むり、溶けそう。ぁっ、やぁっ」
「だったら、溶けて一つになればいい」
「あぁっ、リュウ、だめ、いやだ」
まっすぐな視線をこちらへ向け、真剣な表情を浮かべるリュウは、何度も激しく身体を突き上げてくる。
その動きに身体が押し上げられるが、彼はそれを両手で引き留めて、さらに奥底まで燃えたぎるような欲情を埋め込む。
ひっきりなしに漏れる声は甘ったるく、やめて欲しいと言いながらも縋りついているようにも思えた。けれど与えられ続ける快感に、もう意識が半分飛びかかっている。
再び首筋に噛みつかれた感触がしたけれど、痛みはほとんどなくて、上り詰めていく感覚だけが身体を痺れさせた。
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