07.まっすぐな想い
彼に辛い思いをさせた時に、すぐに追いかけていけなかった自分のことがひどく情けなく思えた。とっさの反応ができなくて、いつも後悔ばかりする。選ぶべき選択を間違えてしまう。 それを秤にかけた時に、どちらが重いかなんてことは考えなくてもわかるのに…
My Dear Bear~はじめての恋をしました 君と歩くこれからの毎日長編
06.思いがけない再会
小さな弟分に兄貴分たちは一歩距離を置いている。飛びかかることもなく窓際近くで各々くつろぎ出す。希美に勧められて隣に腰かけた光喜は小さな福丸にデレデレだ。けれど子犬をこうして目の前にするのは初めてなようで、そわそわするものの手を出せないでい…
My Dear Bear~はじめての恋をしました 君と歩くこれからの毎日長編
05.お待ちかねのご対面
リビングに賑やかな笑い声が響く。その声は主に希美と敦子で、その勢いには少しばかり驚かされる。どこでどうやって知り合ったのか、いつから付き合ってるのか、などと言うことを根掘り葉掘り聞かれてさすがに苦笑いしか浮かばないが、女性陣の興味は尽きな…
My Dear Bear~はじめての恋をしました 君と歩くこれからの毎日長編
04.君の優しさ
二人のマイペースさに不安を覚えていたが予感は的中した。光喜のことを知っていたのでさらに面倒な展開になったとも言える。兄、息子の恋人、と言う前に芸能人に出会えたことの感動が大きいようだ。 しかし彼はもうその仕事から卒業しているから、騒ぎ立て…
My Dear Bear~はじめての恋をしました 君と歩くこれからの毎日長編
03.緊張の初めまして
新幹線で二時間ほど。電車を乗り継ぎ久しぶり降り立った小さな駅は、それほど昔と変わらない。年に一度帰るか帰らないか、そんな頻度だが迷いようがないほどだ。隣でキョロキョロと物珍しげに視線をさ迷わせている顔に小さく笑みを浮かべながら、二十分ほど…
My Dear Bear~はじめての恋をしました 君と歩くこれからの毎日長編
02.初めての旅行
厚切りのトーストを二枚。ポテトサラダとツナを載せたグリーンサラダに卵を三つ使った大きなオムレツ。そして肉汁が溢れるウィンナーを四本に淹れ立てのコーヒー。食卓についた二人は両手を合わせて声を揃えると温かいトーストにかぶりつく。 バターがたっ…
My Dear Bear~はじめての恋をしました 君と歩くこれからの毎日長編
01.二人の日常
人の出逢いの中には運命的な出会いというものがあるよ。そんな話を聞かせてくれたのは誰だっただろう。それは随分と遠い記憶。幼い頃の記憶だ。その時は言っている意味がさっぱりわからなかった。首を傾げるとその人は目を細めて笑い、大丈夫と頭を撫でてく…
My Dear Bear~はじめての恋をしました 君と歩くこれからの毎日長編
83.この恋を抱きしめて
眠っているあいだの光喜は夢うつつで、楽しげな笑い声や話し声を聞いていた。勝利の笑い声、そういえばあの頃は辛かったなと思い出しながら口元に笑みを浮かべる。そして小津に初めて会った時、いま思えばなぜ視線が吸い寄せられたのだろうと思う。 人より…
My Dear Bear~はじめての恋をしました長編
82.これから先の未来
初めて小津を連れてこの店に来た時、千湖はひどく驚いた顔をしたけれど、見る間に涙を浮かべて泣き出した。そして良かったね、と何度も繰り返してぽろぽろと涙をこぼした。もし本当に光喜が誰かを連れてきた時には、祝福してやって欲しい、そう瑠衣に言われ…
My Dear Bear~はじめての恋をしました長編
81.変わらずの日々
仕事が一段落すると時刻は十六時を少し過ぎていて、周りに早く帰りなさいと声をかけられる。その声で時間に気づいた光喜は挨拶を済ませると、急いで帰り支度をして飛び出した。今日の約束は十七時、乗り換えに手間取らなければ間に合うはずだ。 ――いま上…
My Dear Bear~はじめての恋をしました長編
80.新しい始まり
新しい恋を初めてから光喜は前向きになれたような気がしていた。心が豊かになって、立ち止まっていた足を踏み出せるようなパワーをもらう。疲れても、へこたれても彼のことを考えれば、また立ち上がれる。 若いっていいね、なんて言われても、笑みしか浮か…
My Dear Bear~はじめての恋をしました長編
79.二人を繋ぐもの
空が夕闇に染まる頃。小津と二人でのんびり駅までの道を歩く。朝ご飯を食べたあとは昼ご飯を買い込んで家にこもり、夜になってご飯求めて外へ出て、いまは少し寂しい帰り道だ。もう少し傍にいたかったけれど、小津も仕事を抱えているのでまた日を改めてとな…
My Dear Bear~はじめての恋をしました長編