長編

森の群生地へ

 ユーリとデイルがしばしの休息をしているあいだに、魔法局員たちが各地に到着し始め、病の原因とおぼしき場所の調査へ乗り出していた。 言葉に甘え、二泊ほどしたユーリも早速、ライやフィンと合流をして一番近くの森へ向かう。「ユーリィさま、ドラフィ、…

待ちに待った朝

 次の日は遠出を楽しみにする子供のように、ユーリは早く目が覚めた。とはいえ、早起きなデイルは軽い運動を済ませて、身支度済みだ。 一体、何時間睡眠なのか、ユーリの中に心配と興味が同時に湧いてくる。「どうかしましたか?」「デイルはいつ寝ているん…

二人の距離感

 一通りの治療が終了し、院長が知る限りの現状を聞いてから、治療院をあとにした。 そろそろ別行動しているライも戻ってくる頃合いだ。 昼食がてらお互いの情報交換を行う予定だった。「ユーリィさま、お待たせしました。近くに良さそうな飯所を見つけたの…

クトウという町

 出発の日は思っていた以上にあっという間に訪れた。 前準備、下準備はユーリがするわけではない。と言っても、外へ出るにあたって覚える事柄も多い。 今回の視察はある意味、世間知らずの坊ちゃんによる初めてのおつかいだ。 供をしてくれるデイルたちに…