短編

移り恋03

 軟膏を塗りたくり、何度も蕾を指先で撫でほぐしていくと、次第に焦れてきたのか、淳の腰がいやらしく揺らめく。 それでも丹念にそこを優しく開いていくと、入り口のあたりや奥を指先で触れるたびに、涙を目尻に溜めながら小さな声を漏らして喘ぎ出した。「…

移り恋02

 希をあいだに挟み、まるで親子のように小さな手を繋いで、家路につく。 さらに三十分ほどかけて家に帰り着くと、キッチンに立った淳が雅之と希のために晩御飯を作ってくれる。 これは高遠家では最近よく見る光景だ。 淳は園長の手伝いをしているため、就…

移り恋01

 時計の針は十八時ジャスト。退勤記録を入力して、パソコンの電源を落とす。 勤務時間は九時から十八時まで、残業はほとんどしない。 高遠雅之はデスク周りを綺麗に片付けると、腰掛けていた椅子からすっと立ち上がった。そんな雅之に、周りの同僚たちは「…