パフューム05
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 喉に張り付いた、粘つく青臭いものを飲み下して、浅く呼吸を繰り返す愛おしい人を見下ろす。
 白い肌がほんのり上気して、彼の香りがさらに立ちのぼるような気がした。

 その甘い香りは媚薬みたいに濃厚で、あらゆる感覚を刺激する。
 上下する胸元に手を這わせて、胸の先を両方いっぺんに摘み上げれば、肌の香りのように甘ったるい声が上がる。

 仰け反った首元を噛み付き舐めると、ベッドに投げ出されていた足が持ち上がり、俺の腰を挟んで絡みついた。

「先輩、焦れないで、わかってるから、ね。これからが本番でしょ」

 すべすべとした脚を撫でて、こちらを見ながら目を細める彼の唇の先に軽く口づけた。すると不服そうに眉間にしわが寄る。
 無意識なんだろうけれど、俺が優位に立つとすぐにふて腐れた顔をする可愛い人。

 いまは艶っぽく乱れて、それがますますたまらない気分にさせられる。
 ベッドの端に転がっていた枕を引き寄せて、彼の腰の下へと押し込めば、隠れていた秘所が上を向く。

 それをゆるゆると、円を描くようにして指先で撫でてあげると、彼の足先に力がこもるのを感じた。

「先輩のここ、久しぶりだ」

 この前も休みの前日だった気がする。あれからひと月くらいにはなるんじゃないだろうか。よく我慢できたなと自分のことながら感心してしまう。

「うんと、可愛がってあげるね」

 腰に絡みついていた両足を掴み、それを大きく広げ肩にかけると、さらにあらわになった秘所がひくひくと動くのが見えた。
 体勢を低くしてそこに舌先を近づけると、びくりと身体が跳ねる。

「しなくて、いい」

「やだ、舐めたい」

 小さな制止の声を無視して、目の前にある蕾をたっぷりと唾液を含ませた舌で舐めあげた。
 すぼまりに押し入るように舌先を尖らせれば、そこはきゅっと収縮する。

 けれどそんな抵抗をものともせずに、俺は無理やりに舌をねじ込んだ。

「ん、ぁ、やめっ」

 入り口辺りでぐるりと何度も舌先を回し内壁をなぞると、いつもより高い嬌声が上がる。
 嫌がる素振りを見せているが、こうやって内側をいじられるのが好きなのはすでに把握済みだ。

 証拠に、彼の口から漏れる吐息が熱く、それに交じる喘ぎ声に湿り気が帯びてきた。快楽に身悶えるその姿はいつ見てもたまらない。

 舌で中をまさぐり執拗に追い詰めながら、そこに指を一本含ませる。
 舌よりも奥に入り込むそれを敏感に感じ取った身体は、指を飲み込むかのような動きを見せた。

「……んっ、瑛治」

「指足りない?」

 どこかねだるような声に顔を上げれば、頬を上気させ潤んだ目でこちらを見つめる視線とぶつかった。
 俺の指の動きに小さく漏れる声が、身体に痺れを感じさせるほどの快感を呼ぶ。

 そして俺は求められるままにまた一本、指を増やす。けれど唾液の滑りだけでは小さなすぼまりは開かない。
 きついそこで軽く指をピストンさせながら、ベッドサイドの棚を探りローションを取り出した。

「ちょっと冷たいけど我慢してね」

 指先で少し孔を拡げ、指を伝わせローションを流し込む。するとひんやりとした感触を堪えるように、すぐ傍にある内腿が小さく震えた。

 そんな反応に笑みを深くしながら、俺は滑りが増したすぼまりにさらに指を増やす。そして水音が響くほどに指を抜き挿しして、震える身体を追い詰めた。

「ぁ、あっ、んっ、ん」

「ものすごい、指に絡みついてくるよ。先輩の中、気持ちよさそう」

 滑りを帯びたそこは次第に赤く熟れ、きゅうきゅうと指を締め付けながらも、いやらしくそれを飲み込もうとする。
 そしてそれに誘われるままに俺は何度も指を動かした。ぐちゃぐちゃと音を立てるそこは、ローションが泡立ちたまらなく卑猥だ。

「……ぅん、んっ」

「唇噛まないで声聞かせて」

 次から次へと漏れ出す声を噛み締める唇は、ほんの少し白くなっていた。
 慌ててその唇の隙間に指を差し込むと、開いたそこから切なげな声が聞こえてくる。

「……もぅ、いいから」

「へ?」

「いいから……早く、入れろ」

 色っぽく掠れた吐息混じりのその言葉は、かなり心臓に響いた。心臓の動きが馬鹿みたいに速くなる。

「だ、駄目だよ。久しぶりだからもっとちゃんと解さないと」

 想像して喉が鳴るが、でもそうするにはまだ早い。しばらく身体を繋げていないから、無理に押し開けば身体に負担がかかる。

「いいから早く、んっ」

 ローションのおかげで指の数は増やせたけれど、まだそこは少し固かった。このまま入れたら絶対に痛みを伴うはずだ。
 急かす広海先輩をなだめすかして、少し性急に中を解すために指を動かした。

 でも逆にそれが気持ちのくすぶりをさらに煽るのだろう。艶めかしいほどに腰を揺らめかせながら、俺の目を真っ直ぐに見つめてくる。

 喉元をさらけ出し、捕食者を誘惑するような視線にどうしても煽られてしまう。
 気づけば俺はぬかるむ小さな蕾に、何度も深く指を突き入れていた。

 ああ――多分きっと滑りを帯びた熱いそこは、狭くて気持ちがいいだろう。

「もうちょっと、待って」

「……お前だって、完勃ちじゃねぇか」

 ふっと息を吐き、緩慢とした動きで持ち上げられた足は、すっと伸ばされて俺の股間に足の裏を押し付ける。
 指先でやわやわと揉み込まれるような感触が、穿いているデニム越しでもわかり、いきなり与えられた直接的な刺激で、腰が痺れるような感じがした。

「そ、それはそうだ、けど」

「さっさとがっつけよ」

「……っ」

 うろたえていた俺に、ぼそりと呟かれた言葉はまさに耳を疑うようなものだった。
 いままで下手にがっつくと、蹴り飛ばされてベッドから押し出されることもあったくらいなのにだ。

 それなのに本人からこんな直球で誘われる日が来るなんて思わなかった。もうその一言で心の淵にぶら下がっていた小さな理性が、大きな音を立てて転げ落ちていった。

 股間を刺激する足を乱雑に掴んで、仰向けた身体を無理やりうつ伏せに転がすと、慌ただしく取り出した自身にローションを垂らした。
 そして軽く片手で抜いて、間を置かずに目の前の小さな蕾にそれを突き入れいていく。

 ぬぷりと熱い杭を飲み込んで、ひくりひくりと動くその様子がはっきりと見えて、興奮は振り切れそうになる。
 気づけば遠慮も配慮もなく細い腰を掴み、小さな尻に腰を強く打ち付けていた。

「……あっ、ぁ、あっ」

 声を押し殺して身体を震わすその姿がたまらない。
 がつがつと腰を振れば、広海先輩は身体を支えきれなくなった腕を折り、上半身をベッドに埋めてしまう。

 シーツを強く握る手は微かに震え、高く腰だけを上げ小さく喘ぐその様は視覚的にかなりヤバイ。
 何度も揺さぶるように奥を突けば、堪えきれなくなった嬌声が薄く開いた唇から漏れた。

 そしてそんな声を必死に飲み込もうとする姿が、ますます俺の心を昂ぶらせる。

「広海先輩っ」

 もっと深く、奥まで繋がりたい。もっと乱れさせたい。もっと声が聞きたい。そう思った瞬間、身体が無意識に動いていた。
 口元で指を噛んでいた手をそこから抜き取り、沈み込んだ身体を持ち上げるように、無理やり腕を掴んで自分の方へ引き寄せる。

 不安定な体勢に抵抗を見せるが、それはお構いなしに、身体に腕を回して自分の胸に近づけた。

「やめっ、あっ、ぁ、んっ……」

 起こした身体は自重で、さらに深く俺の熱を銜え込んでいく。
 逃れようともがく身体をきつく抱きしめて、身体が跳ね上がってしまいそうなほど下から何度も突き上げる。するとまた透明な雫が彼の頬を伝った。

 唇を噛み締めて、目をつむる横顔がたまらなく綺麗で、愛おしい気持ちになる。
 その煌めきに見とれて思わず手を伸ばしたら、手首にそっと口づけられた。その感触に視線を落とすと、赤く染まった頬が目に留まる。

 そしてその表情に色香が加わると、胸にたまった思いが溢れそうになる。
 揺さぶられながら俺の名前をうわごとのように呼ぶ、それがたまらなくて、何度も声をねだるようにうなじに口づけた。

「んっ、たまんない。ねぇ、すごい奥まで絡んでる」

 久しぶりに味わう彼は思わず声が漏れるほどに気持ちよくて、何度も腰を掴み引き寄せてその奥を味わった。

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