まずはスタート地点からやり直そう!
あの場で悠長に打開策を考えている余裕はなかった。一分一秒でも衆人環視から逃れたくて、選んだ選択肢は――家に帰る、だ。二人を引っ掴んで急いでその場を立ち去った。 このままでは無駄に爽やかな煌めき王子がなにをするかわからないし、普段沸点の低そ…
コンビニ中編
恋は落ちるものと言いますが、簡単に落ちすぎ!
こういう急展開は予想していなかった。なんでいきなり光喜はそんなことを言い出したのだろう。どういう心境の変化だ? いままでだってこうして傍にいたのに、なんでそんなこと思うんだよ。 確かにここ二年くらい疎遠になっていたけど、俺たちの関係性はそ…
コンビニ中編
どうしてそういう結論が出てくるんだ!
友達みたいにはいかないってことだよな。面白かったことを誰かと共有するのは楽しいけれど、それはあの人とすることじゃない。でもなにかあるごとに気にかけてくれて、振り向いてくれる。それが嬉しくないかって言ったら嘘だ。 出掛ける前は確かに面倒くさ…
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楽しいって思うことはよくないことなのか
いきなり付き合ってくださいとか言うし、人の足音を聞き分けたりするし、俺のことをいままでの彼氏より知ってそうだし。それはどうよってところと、怪しいところばかり目について、はっきり言って警戒心しか湧いてこない。 それなのに感情が、その目が、そ…
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簡単な答えさえもうまく言葉に出来ない
まっすぐと見つめてくる視線に、言葉が詰まってしまった。なにを言えばいいのだろうと、頭の中が軽いパニックになる。これじゃあ、相手に興味があるみたいじゃないか。現に鶴橋はものすごく期待に満ちた顔をしている。「これは、その、特別な意味じゃ、なく…
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思いがけずこぼれた言葉は取り消せない
自己嫌悪で悶々としているあいだに目的地に着いてしまった。そこは最近できたという商業施設で、色んな店が入っていて休日と言うこともありなかなかの混雑ぶり。けれど鶴橋は迷うことなく人混みをすり抜けて行く。 それを少し後ろから追いかけていると、時…
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真剣なその想いは一体いつから?
ああ、光喜のせいで視線をものすごく感じる。黙って立っているだけでもこの男は目立つ。それなのに俺みたいなのにひっついて手を繋いでるんだから、好奇の眼差しがグサグサと刺さる。 けれどうな垂れて下を向いていたら、ふいに鶴橋が俺の腕を引いた。光喜…
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面白いだけで繋げちゃうって大雑把
頭に浮かびそうになった妄想を慌ててかき消す。やばいやばい、なんでそんな想像しようとしてんだよ。二ヶ月ご無沙汰なだけで欲求不満とかあり得ない。いかん、気をしっかり持て。 そんなジタバタする俺に目の前の二人は不思議そうな顔をする。その視線に恥…
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眩しすぎて思わず想像してしまった
正直言うと目が覚めたら三日くらい時間が過ぎてないかなぁと思った。結局、鶴橋と出かける予定が決定してしまった。しかも三人、と言う微妙な状況で。いや、二人っきりは困るし、三人のほうがまだマシなのだが。 大人しそうな見た目に反してかなりあの人は…
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どこへ転んでも不安が尽きないこの感じ
まっすぐな感情に振り回されそうになる。そこから逃れようとするけれど、やたらと真剣な目がこちらを見据えて、瞬きも出来ないほどに奥底までのぞき込まれた。 その瞳の中に自分の姿を見つけると、なぜだか火を噴くみたいに顔が熱くて、ついに根負けして目…
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嘘も方便といいますが、ばれる嘘は意味がない
俺の好みは百六十七センチの俺よりも背が小さくて、子猫みたいな丸い瞳の可愛い子。間違っても目の前にいるような俺より十センチ以上も背の高い男前ではない。しかしここで光喜(みつき)を振り払うと話がややこしくなりそうだしな。「笠原さん、嘘ですよね…
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こういう展開は慣れてません!
時間が刻刻と過ぎていく。いつもなら早く帰って風呂入って寝たい! なんて思い始める時間なのに、いまはずっとここにいたい。って、また終電女に逆戻りかよ! さっき交代のやつが店の前にイケメンが二人も立っててびびったとか、話しかけてくるから死にた…
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