シリーズ

二人の予定

 駅前は瑛冶がよく利用するだけあって買い物が便利だ。 スーパーだけでなく商店街も充実している。たまに仕事帰り、一緒に買い物をする程度なのでそれほど詳しくはないけれど。 誕生日のケーキは商店街の店に何度か世話になった。 目的の店は駅を挟んだ先…

可愛い子猫の愛し方

 指だけで何度もイかせてから、ようやく伊上は自身の昂ぶりを取り出す。 くったりと力の抜けた天希の脚を抱え上げ、ローションをこぼす小さな孔に先端を擦りつけると、素直な体が反応してそこがひくりと動いた。「挿れていい?」「……ぅん、欲しい」 とろ…

本日の時間外労働

 いま、赤子のいる夫婦のような気分を味わっている。 腹が減ったと泣きわめく子猫は伊上の手でミルクを与えられ、満足そうに喉を鳴らしていた。 そんな様子を見ている天希は少しだけ不服そうだ。 最初は彼がミルクをあげようとしたのだけれど、上手く行か…

落ち着かない初めての感情

 入れ違いでバスルームへ向かった伊上が部屋へ戻ると、いつもならベッドで寝転がっている天希が床に座っていた。 ベッドに背を預けスマートフォンをいじっていた彼は、戻ってきた恋人に気づくと表情を明るくする。「別にベッドへ上がっても構わないのに」「…

久しぶりの逢瀬とおまけ

 昼頃まで晴れていた空は夕刻が近づき、どんよりとした薄暗い灰色に変わっていた。 ぽつんと窓ガラスに雨粒が落ちたことに気づいたのは、部屋の主ではなく側仕えの篠原だ。 彼の視線が動いたのを見て、つられるように書面へ向けられていた伊上の目線が動く…

恋する二人の今日は花丸?

 採光の明るい広いフロアに、整然と並ぶデスク。そこではキーボードを叩く音や、電話に応対する声が聞こえている。 まだ記憶に新しいその場所――幸島ファイナンスのオフィスを横目に、天希は前を歩く人の背中についていく。息子に背中で語ると言わしめるだ…

欲しくてたまらなくなる

 しんとした空間にぐちゃぐちゃと、ローションの粘ついたいやらしい水音が響いている。 目の前にはギラギラとした欲を浮かべる目があり、視線をそらすことすら許してくれない。天希は恥ずかしさで、身体が燃えるほどに熱かった。 恋人の前で脚を開いて、自…