食後の運動は激しすぎます
12/26

 二人でのんびりとお好み焼きデートをして、少しばかり飲んだ。普通ならば気分が盛り上がり、次へと展開するところだが、幸司はいまだに日付を過ぎると眠くなる。
 しかし今日は帰る? と、聞かれたのに首を振ってしまった。

「こうちゃん、ついたよ。そのまま寝ちゃいな」

「シャワー、浴びる」

 柔らかいベッドに身体を倒されて、ウトウトとしていたら、布団を掛けられた。それでも幸司は身体を起こし、もたもたとシャツのボタンを外す。
 その様子に小さく笑った真澄は、代わりにテキパキとボタンを外してくれた。

「一人で入れる? 一緒に入ろうか?」

「うん」

 まるで幼い子供みたいに、ばんざいをしてTシャツを脱がされ、するりとデニムも下ろされる。まだ頭が半分寝ていたが、ふいにキスをされて幸司は目が覚めた。

 上向かされて、力の入っていない唇を割り開かれて、滑り込んだ彼の舌に翻弄される。たっぷりと口の中を愛撫されれば、自然と身体が反応した。

「んっ」

「いい子」

「ぁっ」

 口づけを繰り返されるたびに、幸司の熱が頭をもたげ始める。指先でそれをなぞられると、小さく腰が跳ねた。
 さらには下着の隙間に指が滑り込み、直に握られる。すると途端にぞくりとした快感が広がった。

「あっ、……真澄さんっ」

「一回出しておく?」

「ぁ、あっ、すぐ、イっちゃうっ、待って」

 気持ちいい場所を知り尽くした手に、巧みに扱き上げられて、あっという間に上り詰めそうになる。
 震える足に力を込め、身体を丸めれば、こめかみにキスをされた。

「こうちゃんの可愛い顔が見えない」

 ぽつりと不満そうに呟かれた言葉。それと同時に、すっと指先に眼鏡を外されて、それはすぐさま枕元に放られる。
 少しばかり目の前がぼやけるが、視線を上げた先には、熱を灯したアメジストの瞳があった。

「もっと可愛いこうちゃんがみたいな」

「んぁっ、そこ、やっ」

「嘘は良くない」

「やっ、ぁっ……ぁ、んっ」

 だらだらと先走りをこぼす、その口を指先でぐりぐりと擦られ、震えるほど快感が押し寄せる。涙をこぼして恋人を見つめると、笑みを深くして、刺激を強くしてきた。
 痛みと気持ち良さに、幸司の頭の中はショートし始める。

「ぁあっ、んんぅっ」

「こうちゃん、いっぱい出たね。最近、溜まってた?」

 堪える間もなく欲を吐き出して、勢いで自分の頬まで飛んだ。ぬるりと、擦り上げながら手を引き抜かれ、ひくんと幸司の身体が跳ねる。

「最近ちょっとご無沙汰だったからな。一人で抜いたり、あんまりしないんだ?」

「し、しない」

「こんなにえっちな身体なのに、やり方教えてあげようか?」

「い、いい。いらない。真澄さんに、してもらうのが、……いい」

「はあ、……ほんとくそ可愛いな」

「えっ、わっ」

 小さな舌打ちとともに、身体を押し倒されて、視界に天井が広がる。しかしそれも一瞬で、すぐさまベッドに乗り上がってきた真澄に襲いかかられた。
 スイッチが入った彼は少し言葉や仕草が乱雑になる。唇を塞がれ、下着を引き下ろされ、脚を開かされた。

「待って、待って、真澄さんっ」

「待たない。可愛すぎるこうちゃんにはお仕置きだ」

「やだっ、それされると、またすぐっ」

 身を屈めた彼から逃げ出そうと腰が浮く。だがすぐにきつく太ももを掴まれて、逃げ出せなくなった。
 そうすると真澄は、掴まえたご馳走を前に唇を舐める。

「ひぁっ」

 少し前に吐き出したばかりのものを口に含まれ、舌で絡め取られ、足がガクガクと震えた。なおも追い詰めるように、喉の奥で締めつけられれば、それだけで達してしまいそうになる。

「も、や、だっ、……ますみさんっ、あっぁっ」

 言葉にしきれない気持ち良さに、頭が沸騰しそうだった。それなのに、ギリギリのところまで高められ、あと少しのところで引き止められる。
 それを何度も繰り返されると、今度はイキたくて仕方がなくなった。

「腰、揺れてる。エロ可愛いな。もうイキたい?」

「んっ、ぁっんっ……イキ、たい。早くっ、はやくっ」

「こっちもヒクついてるけど」

「だめっ、そこっ」

 伝い落ちる先走りの滑りを借りて、尻の奥に這わされた指が押し込められる。ぬちゃりと音を立てたそこは、どんどんと真澄の指を飲み込んでいく。
 一本、二本と増やされて、感情とは裏腹にきゅっと指を締めつけてしまった。

「はあ、突っ込みたい」

「だめっ、ぁっ、そ、そんなにしたらっ、……っ」

 口での愛撫に加え、乱雑とも言える動きで中をかき回される。的確にイイところを刺激されると、それだけで軽く達してしまい、なにもかもが思考からはじき出された。
 しまいにはねだるように腰を揺らし、ひっきりなしに幸司は甘い声を上げる。

「イクっ、ます、みさんっ、イクっ、やだっ……中、もっと、して! まだっ、もっと!」

「ちっ、邪魔くさっ」

「抜いちゃやだっ」

「いい子だからちょっと待ってな」

 急に放り出されて、幸司は涙声になった。それでも膝頭にキスを落とされて、荒い呼気を吐き出しながら彼を見上げる。
 真澄が着ている服を脱ぎ捨てると、女性的な印象も一気に拭い去られた。長い髪を縛り上げれば、雄々しい雰囲気が増す。

 ベッド脇にあったローションとゴムを手に取ると、彼は再びベッドに乗り上がってくる。ぎしりとスプリングが軋めば、幸司の胸の音が跳ね上がった。

「もうトロトロだけど、念のため、って締めつけすぎ。中もっと擦って欲しいんだろ? ほら、もっと力抜けって」

 たっぷりこぼされたローション。その滑りをまとった指がまた奥へと押し込められて、いやらしい音を立てながら抜き挿しされる。
 教え込まれた『イイ』ところを、何度も指先で擦られると、それだけでまた高みに押し上げられた。

「は、ぁぁっ、……んぁっ、いい、気持ちいいっ、ぁ、真澄さ、んっ」

「腰、揺れまくり。エロすぎ」

「あっ、イクッ、……やだっ、まだ! 真澄さんの挿れて!」

 ぎゅっとシーツを握り、幸司は髪を振り乱す。はくはくと息をしながら真澄を見上げれば、熱が浮かんだ目で見つめ返された。

「こうちゃん、これ欲しい?」

「ぁ、……欲しい、ほしいっ」

「ほんとその物欲しそうな顔、たまんないよな」

 張り詰めたものを窄まりに押し当てられて、尻の孔がむずむずとした。いますぐに、それを奥まで挿れて欲しくて、幸司はおずおずと脚を開く。

「いい子のこうちゃんには、奥の奥までたっぷり、してやるよ」

 にんまりと口角を持ち上げた彼に、さらに脚を開かされて、慌てる暇もなく熱を押し込まれた。一気に奥まで入ったそれで、押し広げられる感覚。
 またきつくシーツを握ると、激しく腰を使われる。

「ぁあんっ、やっ、イクっ、……ぁっあっ、またくるっ」

 押し寄せてくる快感に、声を止めることができない。
 身体を揺さぶられて、頭の中は気持ちいい、しか浮かばなかった。いま自分が、どんな淫らな声を上げているのかもわからなくなる。

「こうちゃん、俺のほう向いて」

「んぅっ」

 一際強く奥を突かれて、意識を引き戻される。涙が溢れる瞳を瞬かせたら、優しく足を撫でられた。ちゅっとまた膝頭にキスをした真澄は、満足そうに笑い、今度はゆっくりと腰を動かす。

「そらさないで、ちゃんとこっち見てな」

「は、恥ずか、しい」

「でも気持ちいいだろ?」

「ん、……いい。すごく気持ち、いい。ぁっ、ま、すみ、さんは?」

「うん、俺も気持ちいいよ」

 じっと幸司が見つめていると、少しだけ真澄が眉をひそめた。その表情は艶っぽさと男臭さが混じって、いつもとは違う彼を見た気になる。
 けれど熱のこもった目で見返されたら、それだけで熱が身体に移った。

「真澄さん! 抱きしめたいっ」

「いいよ」

 両手を伸ばして彼を求め、引き寄せた背中を強く抱きしめる。それとともに奥で、欲が吐き出されるのを感じた。
 じわじわと広がる、熱さの余韻に浸るように、幸司はうっとりと目を細める。

「こうちゃん、まだする?」

「……したい」

「じゃあ、明日は腰が立たなくなるまでする?」

「えっ、そ、それは困る」

「俺としては、こうちゃんを一晩中喘がせたい」

「あ、えっ……無理。そんなにしたら、声が潰れちゃうよ」

「なんだ、残念。それはまた今度にするか。ちょっとずつレベルアップしよう」

 腕の中に閉じ込められて、抱き寄せられる。それだけのことに胸をくすぐられるのは、やはり彼だけだなと思う。
 一晩中、それを思うと羞恥が湧くけれど、胸元に顔を埋めて、彼の匂いを吸い込んだら、幸司はひどくたまらない気持ちになった。

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