Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができました

優しい指先

 初めて訪れた伊上の家は、やはりと思える高層マンション。セキュリティがしっかりとしていそうな、コンシェルジュ付き。 どれだけ豪奢な生活をしているのだろう、それを見た時はそう思った。けれど扉の向こうは、たとえるならシティホテル。 窓から見える…

何番目でもいいから

 少し洒落た個室の居酒屋で食事をしてから、乗せられた車は見慣れた道を進んでいく。まっすぐに家へお見送りコースかと、そう思うとがっかりとした気分になる。 それでも顔に出さないように、天希は窓の外を眺めた。 通り過ぎる街は、煌びやかなイルミネー…

知らなかった素顔

 無遠慮に口の中に突っ込まれた舌に、好き勝手に撫で回される。舌を噛んでやろうか、そう思うけれど、それもできずに天希は身体をよじる。 それでも振り上げた手で雪雄の身体を力一杯叩いた。 しかし天希をその気にさせるのに必死なのか、怯んだ様子を見せ…

その目に映る自分

 優しくて甘い声。鼓膜を震わせる聞き馴染んだ声に、一瞬ぼんやりとした。けれど何度も呼ばれて、天希は我に返る。「な、なんで俺の電話番号、……って、個人情報は全部筒抜けか」『え? これは昨日、あまちゃんが教えてくれたんだけどな』「俺が?」『そう…

それでもやっぱり、好き

 舌がふやけてしまいそうなほど吸いつかれて、表面を撫でられるだけでゾクゾクとした。吐き出した熱はまた頭をもたげ、大きな手にもてあそばれる。その気持ち良さに頭が惚けた。 いままで天希は同性に恋心を抱いたことはあるが、男性経験はない。 男同士で…