はじまりの恋~Memorial
Illustration:朔羽ゆきさま
はじまりの恋の挿絵です。
無断転載、保存など禁止です。

はじまりの恋
朔羽ゆきさまに初めて描いていただいた表紙イラスト。
お話を読んで二人のイメージを汲み取ってくださいました。
優哉はまさに理想の優哉そのもので、すごくテンションが上がりました。
2016年に描いていただいたリメイク前の二人です。

はじまりの恋
Illustration:朔羽ゆきさま
私の理想の佐樹と優哉です。
詳細なイメージを伝えていたわけではないのに、私の中の二人とぴったりでした。
こちらは2018年4月に新たに描いていただいた表紙になります。

邂逅-10
「藤堂はやっぱり笑ってるほうが好きだな」
どんな時でも藤堂が笑ってくれると幸せな気分になる。
胸がドキドキしたり、そわそわ落ち着かなくなったりすることばかりだけれど、それでも彼が笑うと僕も嬉しいと思えるのだ。
ずっと見たかった彼の笑みに、僕は誘われるままに腕を伸ばした。

想い-03
行き交う車の流れは速く、どうやってここへ来たのかさえわからない。
真っ暗な空の下、煌々と灯る光の渦に飲み込まれ、身体がふわりふわり揺らめいているような気もした。
けれどそんな僕の腕を誰かが強く掴み引き寄せた。
「いまここで死んだら、あなたは楽になるかもしれないけど、あとに遺された人はどうするの」

夏日-13
「好き、好きだ。お前が好きだよ」
湧き上がる感情はどうしても抑えきれなくて、目尻に浮かんだものがとめどなく滑り落ちていく。
どうしてこんなに愛おしいのだろう。
どうしてこんなに藤堂を求めてしまうんだろう。
触れているだけで、心が満たされていく。
想いと一緒に溢れる雫を藤堂の唇は拭い取ってくれた。
そして瞼に触れ、頬を滑り、唇は首筋を伝い落ちる。

夏日-48
いまどうしても触れたくて仕方がなかった。
なぜだかわからないけれど、藤堂のぬくもりを触れて確かめたかったのだ。
僕が不安になってはいけないと、そう思ったはずなのに心が揺れる。
この時の不安がのちに大きな波紋を広げることを、僕はまだ知らない――。

別離-01
力なくずるりと下へ落ちていく藤堂を抱き支えながら、ゆっくりと膝をついてその身体を横たえる。
「藤堂、しっかりしろよ!」
目の前の出来事に声が震えた。
真っ白なブレザーの右脇腹がじわりじわりと赤く染まっていく。
手のひらで抑えても血は溢れるばかりで止まることがない。

別離-34
「よかった。お揃いじゃないけど僕たちのペアリングな」
左手を持ち上げて藤堂の手のひらと合わせると、重なり合った指輪がカチリと音を立てる。
それがなんだかひどく嬉しくて、僕はふやけきった笑みを浮かべてしまう。
ようやく僕と藤堂を繋ぐものができた気がする。
そう思うだけで心が勇気づけられた。
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