おいしい恋が舞い降りる

可愛い人

 棚の雑貨を眺めている志織の元へ戻ると、雄史は嬉々として紙袋を差し出す。「はい、プレゼントです」「……断る隙がないな」「あっ、ごめんなさい! 迷惑でしたか?」「いや、そんなことはない。ただ大したことしていないのに、悪いなと思ったんだ。でもあ…

おいしい恋が舞い降りる

「おいしい恋が舞い降りる」あなたの優しさが世界のすべてを変えた。年下わんこ×包容系男前全21話※R18第九話「可愛い人」素顔を初めて見るような気持ち傍にいるだけで心があたたかい

プレゼント

 あれから仕事は定時きっかりに終わった。いや、終わらせた。 時刻が切り替わった瞬間に席を立ち、周りに挨拶を済ませるやいなや、雄史は会社を飛び出した。待ち合わせ時間には十分余裕があるのに、なぜだか気持ちが急いている。 駅までの道のり、メッセー…

おいしい恋が舞い降りる

「おいしい恋が舞い降りる」あなたの優しさが世界のすべてを変えた。年下わんこ×包容系男前全21話※R18第七話「高鳴る鼓動」その存在を思い浮かべるだけで気持ちが高鳴るのはなぜだろう

高鳴る鼓動

 昨晩、長居したカフェを出たのは、閉店時刻の二十一時を三十分ほど過ぎた頃だ。 いくら彼の自宅が二階だとは言え、毎度毎度、遅くまで居座るのはどうかと思う。しかし自分でも言葉にしたとおり、いつも雄史はあそこへ行くと根っこが生える。 ひどく居心地…

デートの約束

 まっすぐに見つめ返されると、少しばかり照れくさくなる。そわそわとした気持ちになりながら、雄史は心を落ち着けるように小さく咳払いをした。 言葉を待っているのであろう志織は、そんな様子に小さく首を傾げる。「志織さん、もしかして一人っ子?」「え…

心の変化

 しばらく言い訳を探して雄史が黙っていると、こちらを向いていたブルーグレーの瞳がそれた。 だがその仕草自体にはなんの意味もなく、ただ料理に視線を落としただけなのは、見ていればわかる。それなのにいまは、なぜだか途端に焦りが湧いてきた。「志織、…