しあわせのカタチ

ライフ02

 目が覚めたら、もうすっかり昼を過ぎていた。起きるのが少し面倒ではあったが、腹が鳴る身体の訴えには勝てず、俺はサイドテーブルの眼鏡を掴み起き上がる。 寝癖の付いた頭を掻きながら戸を引けば、ソファの片隅に見るからにアイロン済みの、整然とした洗…

ライフ01

 眠りの狭間。漂う意識の隅で微かに戸を引く音がした。 それは気配を消して、足音も立てぬようこちらに近づいてくる。けれど俺は夢現ながらも、その存在を確かに認識していた。「あれ、起きてました?」「起きてたんじゃねぇよ。起こされたんだ」 ベッドの…

シアワセ

 もしも、もしもの世界。 いまある現実とは違う道を歩いていたら、幸せだったかもしれないと思ったことはある? 深夜一時。突然嫌がらせかと思うほど、インターフォンのチャイムが何度も部屋に鳴り響いた。眉をひそめ、立ち上がるのを躊躇っていると、二度…