しあわせのカタチ

パフューム06

 背中がぴりぴりとするほどに、快感が身体を駆け巡る。その感覚に身震いしながら俺は中を舐るみたいに腰を動かした。 何度も奥を擦られるのがたまらないのか、広海先輩は半開きにした口元から掠れた艶っぽい声を漏らす。 恍惚として瞳を潤ませるその表情も…

パフューム05

 喉に張り付いた、粘つく青臭いものを飲み下して、浅く呼吸を繰り返す愛おしい人を見下ろす。 白い肌がほんのり上気して、彼の香りがさらに立ちのぼるような気がした。 その甘い香りは媚薬みたいに濃厚で、あらゆる感覚を刺激する。 上下する胸元に手を這…

パフューム04

 あらわになった彼の上半身は均整がとれていて、いつ見ても綺麗だ。 うっすらと割れた腹筋を指先でなぞり、俺は臍から胸元に向けてゆっくりと舌を這わせた。「……っ」 微かに熱い息を吐く広海先輩を上目で見ながら、胸元にある柔らかな突起を何度も執拗に…

パフューム03

 少し先を足早に歩く広海先輩は、なにも喋らずに前を向いている。 掴まれていた腕はいつの間にか離れて、俺は彼の後ろを黙ってついて歩いた。 人の喧騒も減り、しんと静かになった空間――どのくらい歩いたのか、どこまで来たのかわからなくなったその時。…

パフューム02

 駅前までのらりくらりと歩いていたら、ふいに広海先輩はこちらを振り返った。 じっとこちらを見る黒い瞳にドキマギして、思わずキスしてしまいたくなるような唇から、紡ぎ出されるだろう言葉を待っていると、なぜか小さくため息をつかれた。「あの、広海先…

パフューム01

 人生にモテ期などなかった自分に、今頃そんな時期がやって来た? 高身長ばかりが目につくそれ以外は、平凡そのもの――はっきり言って奥二重で、ちっとも目元ははっきりしていないし、鼻が高いわけでもなく、パッと見ても印象薄そうで冴えないし。 性格的…

スペア03

「広海先輩、言って」「は?」「俺のこと好き?」 眉をひそめた俺に、三木は小さく首を傾げながら、人の心の内を覗くかのようにゆっくりと目を細めた。「意味わかんねぇ」 じっとこちらを見る視線に、耐え切れずふっと目を逸らすが、立ち上がった三木が、目…

スペア02

「春日野先輩。俺、好きなんです先輩のこと」「は? お前、誰」 やたらと背の高いボンヤリした顔の男――それがあいつの第一印象。 そして夏の暑さで頭でもやられたのだろうかと、思わず哀れんだ視線を向けたことをなんとなく覚えている。 けれどあいつは…

スペア01

 いつの間にか一緒にいるようになって、そしてそれが当たり前のようになってきた頃から、不安にはならないかと周りによく聞かれるようになった。 気まぐれや間違いだと思いやしないのかと、何度も言われた。しかし不思議と自分は、いままであいつの行動や言…

ライフ03

「あれ広海先輩、今日休みだったの?」「あ?」 帰ってくるなり、俺を見た三木は開口一番にそう呟き、首を傾げた。そしてその言葉に俺が眉をひそめると、今度は目を瞬かせさらに首を捻る。「だって眼鏡だし、普段着だから。仕事モードじゃない先輩久しぶりか…