自分の選択が間違いじゃないって思う瞬間
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 ちょっと甘えた考えをしているのは自覚がある。だけど放っておけるほど光喜とは浅い関係じゃない。前向きに次の恋愛が出来るまで、見守ってもいいよな?

「あのさ」

「笠原さん」

「な、なに?」

 窺うような視線を向けると、目の前の鶴橋はやんわりと微笑んだ。その表情に少し緊張で背筋が伸びる。だけどこちらを見る目は優しくて、なにも言わずに俺の言い訳を飲み込んだように感じた。

「明日、遊園地に行くなら日曜日は近場でゆっくりしましょうか。ご飯がおいしいところ調べておきます」

「うん」

「楽しんできてください」

「うん、ありがとう」

 こういうところが大人なんだな。余裕って訳じゃなくて、相手の立場になって物事を考えてる。ヤキモチ妬いて駄々をこねたら俺が困るのをわかっているんだ。だからあえてなにも言わない。

「鶴橋さんがまともな人で良かったよ」

「え?」

「あ、いまのは言葉を間違えた。そうじゃなくて、選んだ相手があんたで良かったなって思ったんだ」

「それは嬉しいですね」

 自分のことを好きだと言っている男たちを両手に花状態にしているいまが正しいのかというと、ちょっと首を傾げたくもなるのだが。この二人といるのは居心地悪くないんだよな。不思議と落ち着く感じがある。

「あ、でも笠原さん」

「ん?」

「この三角関係、慣れすぎないでくださいね。光喜さんがいなくなった時に物足りないとか言われたらさすがにショックです」

「あ、うん。それは気をつける」

「えー、なに? いまから俺のいない話? しばらくは三人で楽しくしようよ」

「光喜さん、ちょっとは遠慮してください」

 悪戯っぽく笑った光喜と難しい顔をした鶴橋。牽制し合う二人に囲まれて、いままでだったら焦って困って仕方なかった。だけどいまはなんだか笑えてくる。味気なかったラーメンが急においしくなって、替え玉までして腹一杯食べてしまった。
 三人って言う微妙な関係になって一週間。暢気にラーメン食べている自分なんて想像していなかった。だけどしばらくは楽しむのも悪くないかもしれない。