コンビニ

花のほころびはもう少し?

 早く光喜に新しい恋をしてもらって、落ち着いて欲しいという気持ちが一番だが、なによりも俺自身がもうちょっとゆっくり二人っきりで過ごしたいと思っている。光喜はしょっちゅう遊びに来るし、それに加えて小津もやってくるようになった。四人で集まるのは…

花が開くかどうかはこれから次第

 少しずつ近づいていけば数センチ、あと数ミリというところでクッションを顔に押しつけられる。目いっぱい押しつけられたそれを避けると、その下で光喜が顔を真っ赤にしていた。「ばーか、冗談に決まってんだろ」「し、心臓に悪い冗談」「なんだよキスくらい…

芽吹いた花の蕾はまだ青く閉じたまま

 冬悟と小津は結構古い仲らしく、十年くらい付き合いがあるようだ。職場の知り合いとかではないから、プライベートで知り合ったのだろう。ノンケの冬悟にあれこれ入れ知恵していたのは小津らしい。 付き合い始めてしばらくして紹介されて、たまに一緒にご飯…

春爛漫!新しいはじまりの日

 コンビニで出会った頃はまだ寒くて冬を感じていたけれど、いつの間にか花が芽吹いて桜色の春になっていた。春は様々なはじまりの季節でもあり、俺たちにも新しいはじまりはやって来る。 三軒隣、すぐ傍で暮らしていたが、平日も休日も互いの家に入り浸るこ…

これから二人で始める新しい恋

 これまでの一週間を振り返ると短くも長くもある。体感的にはすごく長い。だけど気持ちが変わるのはこれまでで一番早い。こんなに押しに弱かったなんて、やっぱり顔がいいって特だなと思う。 元々可愛い子が好きなだけあって俺は面食いだから、顔のいいやつ…

自分の選択が間違いじゃないって思う瞬間

 ちょっと甘えた考えをしているのは自覚がある。だけど放っておけるほど光喜とは浅い関係じゃない。前向きに次の恋愛が出来るまで、見守ってもいいよな?「あのさ」「笠原さん」「な、なに?」 窺うような視線を向けると、目の前の鶴橋はやんわりと微笑んだ…

立ち止まった時に少しくらいの休憩は必要だ

 気持ちを誤魔化さない、曖昧な態度はしない。ちゃんとけじめをつけたい。でもどれが光喜に対する正しい答えなんだろう。 こうして鶴橋を選ぶことに決めたわけだが、光喜に対してどうするのが真摯な対応なのかがわからない。向こうはこの状況を見て答えはわ…

あんなに難しかった感情が簡単に解けた

 あんなにストーカーみたいで嫌だって思ってたのに。俺より顔面偏差値が高いし、すげぇ大人だし。だけどなんだか悪くないって思えてしまうんだよな。いつもみたいなまっすぐさも、いまみたいにちょっと頼りなげなところも、可愛くて愛おしいなんて思えてしま…

なにごとも慣れればなんてことはない

 いま鶴橋はいきなり迫られた最初の頃の俺と似たような感覚を味わっているんじゃないだろうか。突然すぎるのって本当に対応に困るよな。だけど散々振り回されてきたんだし、ちょっとくらい慌てさせてやっても罰は当たらないはずだ。「雨降って地固まる、って…

人間、いざという時は開き直りが肝心だと思う

 ノンケだから近づきたくなかった。また同じことを繰り返されるんじゃないかって不安でたまらないから。だけどそれよりもずっともっと気持ちは育ち始めていた。胸が痛くて苦しいのは自分の気持ちを自分が裏切るから。 まっすぐに好きだと言われるたびにその…