コンビニ

嘘も方便といいますが、ばれる嘘は意味がない

 俺の好みは百六十七センチの俺よりも背が小さくて、子猫みたいな丸い瞳の可愛い子。間違っても目の前にいるような俺より十センチ以上も背の高い男前ではない。しかしここで光喜(みつき)を振り払うと話がややこしくなりそうだしな。「笠原さん、嘘ですよね…

こういう展開は慣れてません!

 時間が刻刻と過ぎていく。いつもなら早く帰って風呂入って寝たい! なんて思い始める時間なのに、いまはずっとここにいたい。って、また終電女に逆戻りかよ! さっき交代のやつが店の前にイケメンが二人も立っててびびったとか、話しかけてくるから死にた…

こういう展開ってお約束なの?

 昔からそうだ、光喜(みつき)は突拍子もなくていい加減で、俺を振り回すのが得意。今回もそんなことだろうと思ったのに、なぜだか久しぶりに顔を合わせる羽目になった。「勝利(しょうり)、来ちゃった」「あぁん? なにが来ちゃっただ、この野郎」 店が…

相談する相手を間違えたかもしれない

一晩かけて断る理由を考えてしまった。そもそもあっちはどうしたいって思っているんだろう。俺を抱く気でいるのか、それとも抱かれてもいいとか? え、それを言われたら逃げ場なくない? 駄目だ、他の理由を考えないと。もっと効果的な振り方を。 しかしそ…

ねぇ、どれだけ執着してんの?ストーカー?

 どういう聴力を持っていたら、他人の足音を聞き分けられるんだ? それともなにか、俺の歩き方はそんなに特徴的なのか? なんでもない顔をして笑っていたあの男が――。「怖い、超こえぇよ!」 どうしていままで気づかなかったのだろう。あの様子ではずっ…

どうしても会いたくないって思うのは当然だ!

 生きていると予想外の出来事に出くわすことは多々あるものだ。しかしこう斜め上から鋭角に攻められると、途端に逃げ場を失うので本当にやめていただきたいと思う。 大仰なため息が出るバイト帰り、アパートへの道のりをとぼとぼと歩く。気持ちも足取りも重…

俺はそんな出会いは求めていない!

 この世の中には、ルーチンで生きているやつが意外と多くいる。毎日同じ道を通り、同じ店で同じものを買い、そしていつもと変わらぬ時間に家路につく。 それが身に染みついて、繰り返しの日々に気づいていない人も、いるのではないかと思う。例えばいま目の…