遅咲きの番は孤独な獅子の心を甘く溶かす

13周年感謝!3作品更新しました

いつもご訪問くださりありがとうございます。感謝を込めまして先日行ったアンケートでいただいたリクエストを元に短編を書きました。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができましたしあわせのカタチ遅咲きの…

幸せを感じる朝

 ロヴェの武骨で大きな手が、優しく肌を撫でる感触がたまらない。 首筋や耳の後ろ、こめかみに降る口づけは求められている感じがした。 腹部に負担がかからないよう、後ろから抱きかかえられていて、ゆっくりゆっくりと中を擦っていくロヴェの昂ぶりに、リ…

家族の団らん

 夕刻が近づき、ナディアルが娘を迎えに来たが、まだレヴィーと離れたがらないので、今夜は一緒に食事をすることとなった。 最近ではわりとよくある展開だ。 国王一家と宰相一家、六人で食卓を囲むのはこれで何度目か。 初めの頃はベルイがナナエルを膝の…

和やかな温室風景

 相変わらず万年春のような庭園では、時折ひらひらと蝶が横切っていく。 ロヴェに聞いた話では、数種の妖精もここで暮らしているらしい。 いまでは昔語りとも言える存在だが、あまり人の目に触れないだけで、案外すぐ傍にいるのだとか。 リトが初めて草原…

賑やかな目覚め

 ウトウトと浅い眠りから覚めると、すぐ傍から可愛らしい子供の笑い声が聞こえてきた。 朝から元気に騒いでいる我が子をたしなめているのは、毎日聞いていてもうっとりとしてしまいそうな、聞き心地のいい優しい低音。 しばらくそのまま、二人の様子に耳を…

愛の誓いは永遠に

 ロザハールの家門が国の力で|潰《つい》えたのは、建国以来初めてのことだった。 獣人を非道に扱い、非人道な研究を行っていたとして、ルダール伯爵家は爵位領地ともに没収。 当主を含む、研究に関与した者たちは一部を除き、全員処刑が執行された。 事…

番として迎えた朝

 囁いた言葉が効いたのか、夜が更けてもロヴェは一向にリトの体を離そうとしない。 さすがに数刻も続くと、指先に力も入らなくなってくる。だがロヴェが時折甘えるように首筋を甘噛みしたり、縋るみたいに名を呼んだりするので、リトも彼を手放せない気持ち…

初めての夜を二人で

 ロヴェに抱き上げられたまま、連れられてきたいつもと違う寝室は、柔らかな室内灯に照らされている。 普段と異なるせいか、やけに空間がしんと静まって感じられ、二人の鼓動や微かな呼気まで響きそうに思えた。 どんどんと胸の音が逸り、恥ずかしくなった…

二人で過ごす夜

 草原や森の散策のあとに、ロヴェが言っていた王族専用の屋敷へ移動した。 屋敷の前には後発の馬車が駐まっており、リトやロヴェの着替え、身の回り品が積み込まれているようだ。 馬を下りて見上げた二階建ての屋敷は、王宮を見慣れたせいか想像以上にこぢ…