My Dear Bear~はじめての恋をしました

82.これから先の未来

 初めて小津を連れてこの店に来た時、千湖はひどく驚いた顔をしたけれど、見る間に涙を浮かべて泣き出した。そして良かったね、と何度も繰り返してぽろぽろと涙をこぼした。もし本当に光喜が誰かを連れてきた時には、祝福してやって欲しい、そう瑠衣に言われ…

81.変わらずの日々

 仕事が一段落すると時刻は十六時を少し過ぎていて、周りに早く帰りなさいと声をかけられる。その声で時間に気づいた光喜は挨拶を済ませると、急いで帰り支度をして飛び出した。今日の約束は十七時、乗り換えに手間取らなければ間に合うはずだ。 ――いま上…

80.新しい始まり

 新しい恋を初めてから光喜は前向きになれたような気がしていた。心が豊かになって、立ち止まっていた足を踏み出せるようなパワーをもらう。疲れても、へこたれても彼のことを考えれば、また立ち上がれる。 若いっていいね、なんて言われても、笑みしか浮か…

79.二人を繋ぐもの

 空が夕闇に染まる頃。小津と二人でのんびり駅までの道を歩く。朝ご飯を食べたあとは昼ご飯を買い込んで家にこもり、夜になってご飯求めて外へ出て、いまは少し寂しい帰り道だ。もう少し傍にいたかったけれど、小津も仕事を抱えているのでまた日を改めてとな…

78.もう離さない※

 何度もキスを重ねたあとは光喜のおねだりで一緒に風呂に入った。ギリギリまで恥ずかしがって抵抗していた小津だったが、ふらつく光喜を見て放っておけなくなったようだ。しかし一緒に湯船に浸かり、情事の痕をありありと残す光喜の身体を見てのぼせていた。…

77.好奇心と言う名の欲※

 静まった部屋の中にぬちぬちと粘るような水音と荒い光喜の呼気が響く。さすがに同じ男だけあって感じる場所を熟知している。ゆっくりゆっくりと高みへ押し上げられるような感覚。一気に達してしまいたい気持ちとこの快感をずっと味わっていた気持ちがせめぎ…

76.甘さを感じる

 初めて触れた唇は少しかさついていた。けれどなぜだかひどく甘くて蜂蜜を舐めているような気分になる。その甘さを絡め取るみたいに何度も口づけて、かさつく唇が濡れるほど深く合わせた。そして触れるだけだった口づけは次第に熱を帯びて、その先を求めるよ…

75.ようやく繋がった想い

 昨日の出来事が夢幻でも良かった。そのままなにも言わずにいなくなられてもいい、そのくらいの覚悟は光喜にもできていた。それでもこんな風に二人の時間に他人を混ぜ込まれたら傷つく。「悪かった、ちょっと配慮が足りなかった。小津さんがパニクってるから…

74.想像もしない展開

 深い眠りから目が覚めた時、そこに小津の姿はなかった。目を瞬かせて身体を起こしたら、腰がひどくだるくて重い。肩から毛布が滑り落ちると、そこには昨夜の情事の痕が残っている。身体中に散ったうっ血の痕をなぞって光喜はふっと重たい息を吐く。 横たわ…

73.縋りつく欲情※

 マーキングするみたいに何度も吸いつかれて、それだけで肩が震えた。滑り落ちた唇は胸まで下りて、熟れた赤い尖りまでたどり着くと肉厚な舌で撫でられる。舌先でいじられるだけでぞくぞくとしてしまい、光喜の口からは甘い嬌声がこぼれた。「ぁぅっん、あっ…